104号(2016年2月15日発行)掲載

パーマー大学臨床研究修士取得 坂西 龍之介(ばんざい りゅうのすけ)MS

2007年 RMIT大学日本校卒業

2008年 パーマー大学修士課程入学

2008年 パーマー大学カイロプラクティック研究センターに研究員として勤務

2010年 パーマー大学修士課程修了

2011~2014年 ウイケアカイロプラクティック勤務 (神奈川県)

2011年~ 東日本大震災被災地でのボランティア活動 (宮城県・福島県)

2015年~ リガーレ・カイロプラクティック勤務 (横浜・新宿)

2015年 アクティブ・エイジング カイロプラクティック開業 (二子玉川)

 

「パーマー大学大学院にて臨床研究修士取得」

 

 はじめまして、坂西龍之介と申します。私はRMIT大学日本校を卒業後、2008年にパーマー大学大学院に留学し、臨床研究修士課程を専攻しました。帰国後はこの知識を取り入れながらいくつかのカイロプラクティッククリニックにて臨床と研究を続け、昨年、2人の先生と共に二子玉川にてアクティブ・エイジングカイロプラクティックを開業いたしました。

 

 大学院進学のきっかけは、RMIT大学在学中にぶつかったいくつもの疑問でした。無駄の少ない鑑別診断方法は?ある状態にはどのアジャストメントがベストで、何回で良くなるのか?再発率とその予防のために必要な施術頻度は?その答えに近づくためにはより専門的な探求が必要でした。RMIT大学を卒業後、恩師である故・竹谷内一愿先生や吉川裕介先生、先に大学院への入学を考えていた和田勝義先生や多くの皆様の励ましとご協力により、パーマー大学修士課程入学を申請しました。

 

 入学審査も無事に通過し、期待を胸に渡米しました。修士課程で臨床研究の基礎と統計学、生命倫理、論文読解などを履修する一方で、米国国立衛生研究所(NIH)からの助成金で行われている研究プロジェクトの研究員として働き、多くのことを学びました。カイロプラクティックの研究分野を牽引する研究者たちの知識と熱意は圧倒的でついていくのに必死でしたが、井田知孝先生が会長を務めていたパーマー日本人会からの温かいサポートを得ながら過ごした2年間はとても充実してあっという間に過ぎました。

 

 臨床技術において、日本はアメリカとの差を縮めたかもしれませんが、研究を含むカイロプラクティック業界全体としてのプレゼンスに関しては大きな違いがあり、今後も謙虚に学ぶ必要性があると実感しました。その代表例として、米国ではカイロプラクターは日本の医師と同じように診断権を有し、保険が適用されていますが、その背景には多額の資金を投じた積極的な研究に裏付けされた、カイロプラクティックをサポートする事実があります。米国政府は予防医学へも力を入れているため助成金も与えていて、これまでに数億円の研究助成金がおりています。一方で、日本におけるカイロプラクティックの研究分野は遅れていると言わざるをえません。これは一朝一夕では実現できないため、長いスパンでの研究計画・活動が大切だと考えます。

  

 帰国した私は「研究は臨床に役立つのか」という質問を多く受けました。研究から得られた統計データや情報は、臨床にとても役立ちます。意識して行っているかどうかにかかわらず、臨床的かつ研究的事実や日々の臨床で得た様々な情報をもとに、私たちは推論を行い施術にあたっています。具体的には、禁忌症状の鑑別診断に必要な問診と検査、問題点を導き出すための検査の正確性と一貫性、最適な施術方法の選択などは、こういった研究結果に基づく情報に支えられています。もちろん、先輩に臨床経験について聞くことや自分で考えることも研究の1つです。

 

 研究は、その臨床推論を支える質の高い情報源となります。カイロプラクティックの研究も少しずつですが進んでいますので、個人的にはそれらを出来るだけ臨床に取り入れると同時に、自分からも研究をして情報発信していきたいと思っています。